建設現場における「斫り工(はつりこう)」は、建物の骨格をミリ単位でコントロールする極めて重要な職種です。重機で一気に建物を粉砕する解体工事とは異なり、ハツリ工事は「残すべき躯体を傷つけず、不要な部分だけを除去する」高度な技術が求められます。
現場取材で見えてくるハツリ工の代表的な仕事内容は以下の通りです。
- 型枠のズレ・打継ぎ面の補正:コンクリート打設時に型枠が膨らんでしまった余分な箇所を削り取り、平滑にする。
- 設備配管・配線の経路確保:後からエアコンのダクトや給排水管を通すための貫通穴(スリーブ)や溝をコンクリート壁に掘り込む。
- サッシ周りの開口調整:アルミサッシやドア枠を取り付けるため、躯体の寸法誤差を数ミリ単位でハツリ調整する。
- 塗装・防水の下地処理(目荒らし):ツルツルしたコンクリート表面を目あえて荒らし、モルタルや防水材の密着性を向上させる。
これらの作業をこなすため、職人は対象の強度や施工規模に応じて多彩な道具を使い分けます。手作業で細部を調整する「タガネ(鏨)とセットハンマー」から、小回りの利く「電動ハンマードリル」「空圧式チッパー」、そして強固な基礎や床を斫る大型の「エアーブレーカー」まで、用途に合わせた緻密なツール選定が行われています。