グランドスラムの決勝カードを眺めれば、時代の変化は一目瞭然だ。かつてコートを支配したビッグ4の時代が過ぎ去り、カルロス・アルカラスとヤニック・シナーというふたりの怪物が、テニスという競技そのものの物理的限界を押し広げている。彼らのラリー速度は10年前のトッププロと比較しても明らかに一段上の領域にある。
フォアハンドの平均ストローク速度は時速130キロを超え、ベースラインの遥か後ろからでも一発でエースを奪う。守備から攻撃への切り替え速度はもはや人間の反応速度の限界に迫る。コートの四隅を突かれても、ひとつのスライディングから形勢を逆転させる運動能力。観客の息を呑ませるプレイの連続が、世界中のテニスファンを熱狂させている。