参列者側が最も間違いやすいのが、不祝儀袋(香典袋)の準備です。インターネット上のQ&AサイトやSNSでは、「不祝儀はすべて薄墨で書く」「香典袋の表書きは御霊前で統一すれば無難」といった断片的な情報が散見されますが、一周忌においては重大なマナー違反につながるリスクがあります。
まず押さえるべきは、「薄墨の真相」です。通夜や葬儀で薄墨を使う理由は、「突然の悲報に接し、流した涙で墨が薄まってしまった」「急いで駆けつけたため、十分に墨を磨る時間がなかった」という哀悼の念を表すためです。しかし、逝去から1年が経過した一周忌法要は、事前に日程が決まっており、あらかじめ準備をして臨む儀式です。そのため、一周忌の香典袋には通常の濃い黒墨(濃墨)の筆や筆ペンを使用するのが正式な作法となります。薄墨のまま持参すると、「1年も経ったのに準備をしていなかったのか」と受け取られかねません。
表書きに関しても明確なルールが存在します。仏教の多くの宗派では、四十九日を過ぎると故人は仏になると考えられているため、表書きは「御霊前」ではなく「御仏前(御佛前)」を用います。四十九日法要との違いを理解していれば自然と判断できるポイントです。ただし、故人が亡くなると即座に成仏すると説く浄土真宗では、通夜・葬儀の段階から一貫して「御仏前」を使用します。宗派が分からない場合は、「御供物料」と記載するのが最も無難な回避策です。
参列者が気になる一周忌法要の香典相場は、故人との関係性や会食(お斎・おとき)の有無によって以下のように変動します。
- 両親が亡くなった場合:30,000円〜50,000円(夫婦で参列し会食を共にする場合は50,000円〜100,000円)
- 兄弟・姉妹の場合:20,000円〜30,000円(夫婦の場合は30,000円〜50,000円)
- 祖父母・叔父叔母・親戚の場合:10,000円〜20,000円
- 友人・知人・関係者の場合:5,000円〜10,000円
法要の後にホテルや料亭などで会食が用意されている場合は、実費として1人あたり5,000円〜10,000円程度が上乗せされる計算で包むのが、喪家に対する礼儀とされています。