王家の血を引かないエレン・イェーガーが、いかにしてこの絶対的なパラドックスを突破し、始祖の力を掌握したのか。作中では段階的な条件クリアと、最終局面における「始祖ユミルへの直接的アプローチ」が描かれました。
第一の突破口は「王家の血を引く巨人との肉体接触」です。物語前半、エレンは母の仇である無知性巨人(正体は王家の血を引くダイナ・フリッツ)を殴りつけた瞬間、突発的に「叫びの力」を発動させました。この事象から調査兵団は、「始祖を宿す非王家の人間が、王家の血を引く巨人と接触すれば、不戦の契りを回避しつつ一時的に能力を行使できる」という仮説に辿り着きます。
そして物語のクライマックスにおいて、エレンは王家の血を引き「獣の巨人」を宿す異母兄ジーク・イェーガーと接触を果たし、「道」の世界へと到達しました。
当初、主導権を握っていたのは不戦の契りを無力化させたジークでした。しかし、決定打となったのはエレンによる「始祖ユミルの解放」でした。
2000年もの間、王家の命令に盲従する奴隷として巨人の肉体を作り続けていた始祖ユミルに対し、ジークは「王」として命令を下しました。しかしエレンは彼女を一人の傷ついた人間として抱きしめ、次のように叫びます。
「お前は奴隷じゃない、神でもない、ただの人だ。誰にも従わなくていい、お前が決めていいんだ」
この言葉によって自我と自由意志を取り戻した始祖ユミルは、王家の命令ではなくエレンの意志を選択しました。結果として、王家の血筋という絶対条件そのものが根底から無力化され、エレンへ始祖の全権能が委譲されることとなったのです。