インターネット上の健康コラムやサプリメントの解説において、「マテ茶に含まれるのはカフェインではなく『マテイン(Mateine)』だから体に優しい」という主張を見かける場面が多々あります。しかし、分析化学および薬理学の見地から言えば、マテインとカフェインの違いの真相は「全く同じ分子構造(C8H10N4O2)を持つ単一の化合物」です。
かつて緑茶のカフェインを「テイン」、ココアのものを「グアラニン」と呼んだ歴史的背景と同様に、発見当初に植物固有の名称がつけられた名残に過ぎません。それにもかかわらず、なぜマテ茶ノンカフェイン説の誤解と理由がここまで根深く定着したのでしょうか。主な要因は次の2点に集約されます。
第一に、「野菜不足を補う健康茶」というマーケティングイメージが先行し、ハーブティーの一種として麦茶やルイボスティーと同列に分類されてしまった経緯があります。第二に、マテ茶特有の成分構成が生み出す「体感の差異」です。マテ茶にはカフェインのほかに、カカオにも含まれる血管拡張成分「テオブロミン」、微量の「テオフィリン」、そして豊富なクロロゲン酸などのポリフェノール類が共存しています。
これらの相互作用によって中枢神経への刺激が緩やかになり、コーヒーを飲んだ時のように急激な動悸や血圧のスパイクが起こりにくい特性を持ちます。この「マイルドな覚醒感」を体験した愛飲者たちが、「カフェインとは別物である」と誤って伝播させたのが俗説の発端です。