「毎年レントゲンを受けていたのに、進行した肺がんが見つかった」という話を耳にすることがあります。胸部レントゲン検査において、肺がんの見落としが一定確率で生じるのは構造上の限界によるものです。
レントゲンは立体的な人体を1枚の平面(2D)に投影するため、以下の「死角」に隠れた病変を見つけることが極めて困難です。
- 心臓や大血管の裏側:心臓の影に隠れてしまうエリア。
- 横隔膜・肝臓の裏側:肺の最下部で他の臓器と重なる領域。
- 鎖骨・肋骨の交差部:骨の白い影に病変が溶け込んでしまう場所。
- 1cm未満の微小病変:初期のすりガラス状結節など、濃度が薄い影。
これに対し、胸部CT検査は体を輪切り(3D)状に数十〜数百枚のスライス画像として撮影します。1〜2ミリ単位の断面を観察できるため、骨や心臓の裏に潜む数ミリ単位の早期肺がんも鮮明に描出可能です。喫煙歴が長い方や血縁者に肺疾患がいる方は、レントゲンだけに頼らず、定期的な低線量CT検査の受診が推奨されます。