SCP-087「吹き抜けた階段」が提示した恐怖の本質は、「説明のつかない不条理と、逃げ場のない閉鎖性」に集約されます。
多くのエンターテインメント作品では、怪異の正体やバックストーリー、あるいは対抗手段が用意されるのが通例です。しかしSCP-087には、なぜ階段が存在するのか、子供の泣き声の正体は何なのか、そして最下層に何があるのかという答えが一切存在しません。報告書という無機質な文体を用いながら、科学や論理が暗黒に呑まれて無力化していく過程を描き切った点こそが、本作が色褪せない最大の理由です。