日本球界にとって長年の悲願だったU-18世代での世界制覇。アメリカやチャイニーズ・タイペイ(台湾)といったフィジカルとスピードを兼ね備えた強豪国に対し、日本はいかにして勝利の活路を見出したのか。その根底には、従来の高校野球の常識を覆す大胆なチームビルディングが存在しました。
かつての高校日本代表は、甲子園で名を馳せた主戦投手や長距離砲を並べるオールスター構図が主流でした。しかし、国際舞台で幾度も苦杯を舐めた経験から、選考基準は大きく舵を切ることになります。侍ジャパン高校代表監督スタッフが掲げたのは、「木製バットで確実にミートできる高いコンタクト能力」「内外野を複数守れるユーティリティ性」、そして「走塁で1点をもぎ取れる機動力」でした。単なる個々の能力の足し算ではなく、トーナメントを勝ち抜くための機能美を極限まで追求した編成です。
現場取材において、代表首脳陣は次のようなニュアンスを明かしています。「甲子園のヒーローをそのまま集めても勝てない。国際球の沈み方に対応できるゴロ打ち、守備での一歩目の速さ、そしてタイブレーク(無死一・二塁からスタート)で確実に進塁打を打てる適応力こそが代表選出の決定打になる」。まさに高校日本代表選出理由と経緯における思想転換が、悲願の金メダルをもたらした最大の勝因と言えます。