鮭のめふんとは何の部位?まずい噂の真相と絶品珍味の食べ方を徹底解剖

鮭のめふんとは何の部位?まずい噂の真相と絶品珍味の食べ方を徹底解剖

鮭のめふんとは何の部位?まずい噂の真相と絶品珍味の食べ方を徹底解剖の真相について、専門知識を詳しくお届けします。

鮮魚売り場で見かける一般的なサケの切り身からは想像もつかない姿をしている「めふん」。結論から言えば、鮭のめふん部位の正体は、鮭の背骨(脊柱)の内側に沿って縦に細長くへばりついている「腎臓」です。

魚類の内臓処理を行う際、背骨の中央を覆う赤黒い筋状の組織を目にしたことがある方も多いはずです。一般的には「血合い」や「背骨血合い肉」と混同されがちですが、解剖学的には血液を生成・濾過する中腎および頭腎と呼ばれる泌尿・造血器官そのものを指します。これを丁寧にスプーンなどで掻き出し、塩漬けにして発酵・熟成させたものが鮭の腎臓塩辛です。

原料として使われるのは、原則として産卵期の「雄鮭」に限定されます。雌鮭は抱えている筋子(イクラ)に全身の脂質と栄養素を奪われてしまうため、腎臓組織が痩せて水っぽくなってしまいます。一方で、白子を持つ雄鮭の腎臓は肉厚で引き締まり、アミノ酸の密度が非常に高い状態を保っています。丸ごと1尾(3〜4キログラム)の大型秋鮭を捌いても、採取できる腎臓はわずか20〜30グラム程度。まさに鮭一頭からスプーン数杯分しか得られない、極めて貴重な「幻の珍味」なのです。

歴史を紐解くと、この食文化の源流は北海道の先住民族であるアイヌの人々にあります。めふんの語源とアイヌ伝統食の記録によると、アイヌ語で腎臓や背骨の血の塊を指す「メフル(mepur)」が転訛して「めふん」と呼ばれるようになったとされています。自然の恵みである鮭を「カムイチェプ(神の魚)」と呼び、骨から皮、内臓の一片に至るまで無駄なく命をいただく精神が、厳しい冬を乗り切るための貴重な保存食文化として現在に受け継がれています。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。