セルフ補修で最も頻発するトラブルが、裾が波を打ったように歪んでしまう通称「ワカメ現象」です。家庭用の一般的な直線縫いミシンを使い、普通のポリエステル糸でそのまま縫ってしまうと、押さえ金が生地を前方に引っ張り伸ばした状態で糸が固定されてしまいます。その結果、元に戻ろうとする生地と伸びない糸が反発し合い、無残なうねりが発生します。
さらに、ネットの評判と口コミを精査すると、「100円均一の裾上げテープを使ったら、初回の洗濯でベロリと剥がれて接着剤の跡だけが残った」「アイロンの熱を当てすぎて化学繊維がテカリ、生地が縮んで変色した」といった生々しい失敗談が散見されます。特に綿・ポリエステル混紡やレーヨン混の生地は熱に弱く、事前の当て布と温度管理を怠ると修復不可能なダメージを負うことになります。
市販の既製Tシャツの裾裏を観察すると、2本の平行な直線の裏に網目のようなステッチが走っているのが確認できます。これはカバーステッチミシン(偏平縫い)と呼ばれる専用の産業機器で縫われており、生地の伸縮に合わせて糸がループ状に伸縮する構造になっています。この根本的な仕組みを知らずに「ただ縫えば短くなる」と思い込むことこそが、失敗を引き起こす最大の盲点です。