『必殺仕事人V』が必殺シリーズ第23作として世に出た際、制作現場では大きな賭けが行われていました。前作『必殺仕事人IV』の成功を受け継ぎつつも、マンネリを打破するためにビジュアルと演出の大胆な刷新が図られたのです。その中心にいたのが、中村主水という絶対的支柱と、新たに起用された若手仕事人たちでした。
放送当時の視聴率は常に20%前後を記録し、後年における再放送やサブスクリプション配信でもトップクラスの再生回数を誇ります。暗闇に浮かぶ鮮烈なライティング、美しくも冷酷な殺し技、そして裏稼業の哀愁を描いた重厚なドラマ性が見事に融合。単なる勧善懲悪にとどまらない「割り切れない人間の業」を描き切った点こそ、本作が後世まで語り継がれる最大の理由です。
さらに、作品の情緒を決定づけたのが主題歌の存在です。藤田まこと自身が歌うエンディングや、鮎川いずみが歌唱した「女は海」、西崎みどりの名曲群など、哀愁漂うメロディが殺しの余韻と見事にシンクロし、視聴者の胸に深く刻み込まれました。