インターネット上の掲示板やSNSでは、マイルドセブンの丘に関していくつかの根強い誤解が見られます。その最たるものが「行政が観光名所として木を管理していたのに、勝手に切られた」という認識です。
この認識は完全に誤りです。美瑛町の丘陵地に広がる美しい木々や畑は、国や町が巨額の予算を投じて整備したテーマパークではありません。99%以上が民間農家の私有地であり、日々の生計を立てるための「生産現場」です。観光客が無料で享受している美しい風景は、農家が自らの資本と重労働によって土を耕し、作物を育て、防風林を手入れしてきた結果として副次的に生まれたものにすぎません。
つまり、木を伐採するか残すかの決定権は100%土地所有者である農家にあります。ネット上では時折「観光資源を破壊した」といった身勝手な批判が見受けられますが、観光客の落とすお金が直接農家の収入になる仕組みはほとんど存在しませんでした。景観による利益を享受するのは周辺の宿泊施設や飲食・交通機関であり、農家側には「畑を荒らされる」「トラクターが出せない」というコストとリスクばかりが押し付けられていたという構造的な歪みがあります。
美瑛の風景は「無償で提供される公共財」ではなく、「農家の私有財産の上に成り立つ奇跡的な借景」であるという根本的な事実を認識することが、現地を訪れるすべての旅行者に求められています。