倉科カナの芸能界デビューは、2006年の「ミスマガジン2006」グランプリだった。応募総数約3万人の頂点に立ったのが18歳の彼女である。当時のグラビアや水着カットは現在も「伝説」としてネット上に出回っているが、本人は後年のインタビューで「当時は水着になることが恥ずかしくて、撮影の前日は毎回泣いていた」と明かしている。この生々しい告白は、華やかなデビュー当時のイメージとのギャップとして大きな反響を呼んだ。
さらに注目すべきは、デビュー直後から「くびれ女王」「グラビアの超新星」と祭り上げられたことによる心理的負荷だ。芸能社会学の観点では、10代後半の女性タレントに対する過剰な性的記号化は、その後のキャリア形成に強い影響を与えるとされる。実際、倉科はグラビアでのブレイク後、急激に女優業へと軸足を移した。2007年から2008年にかけての深夜ドラマ出演を経て、2010年NHK連続テレビ小説『ウェルかめ』のヒロインに抜擢。これが「グラビア出身」から「実力派女優」への転機となった。
この転機は、日本の芸能界における「脱グラビア」の成功例として、専門誌でも度々分析されている。同じくグラビア出身の先輩女優たちが苦戦する中、倉科は「地方出身の等身大ヒロイン」という新たなポジションを確立した。これは運だけでなく、本人の自己プロデュース能力の高さを示している。