原材料表示を確認した人が最も警戒感を抱くのが「ショートニング」の文字です。ショートニングは植物油などを原料に水素添加して作られる半固形油脂で、かつては工業由来トランス脂肪酸を多く含む代表格として世界的に槍玉に挙げられました。
農林水産省や厚生労働省の公開データによると、トランス脂肪酸の過剰摂取は血中のLDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすことで、心筋梗塞などの冠動脈疾患リスクを高めるとされています。
しかし、製造元の実態と製油業界の技術革新を追跡すると、ネット上で叫ばれる過度な不安には是正すべき事実があります。
国内の大手食品メーカー各社は、2000年代後半以降、部分水素添加油脂を使わない製法への切り替えを急速に進めました。アサヒグループ食品をはじめとする国内主要メーカーが使用する原料ショートニングは、トランス脂肪酸の含有量を大幅に低減させた「低トランス脂肪酸仕様」が標準化されています。
WHO(世界保健機関)が勧告するトランス脂肪酸の摂取目標値は「総エネルギー摂取量の1%未満(成人で1日約2g未満)」ですが、内閣府食品安全委員会の調査によれば、平均的な日本人の摂取量は約0.3%と国際基準を大きく下回っています。クリーム玄米ブランを適量食べる程度で、直ちに健康被害が生じるようなトランス脂肪酸の量には達しません。
また、乳化剤やピロリン酸鉄、香料、炭酸Mgといった食品添加物についても、国の食品衛生法に基づき一生涯毎日摂取し続けても健康影響が出ない「一日摂取許容量(ADI)」の範囲内で厳格に管理されています。「添加物が入っているから即座に毒である」という極論は科学的根拠を欠いており、過剰な忌避反応を示す必要はありません。