発熱から数時間しか経っていない段階で受診した場合に頻発するのが「偽陰性(本当は感染しているのに陰性と判定される現象)」です。感染症専門医らの臨床データによると、発症後12時間未満の検査における感度(陽性を正しく陽性と判定できる割合)は60〜70%程度まで落ち込むと報告されています。つまり、発熱直後に検査を受けた患者の3〜4人に1人は「陰性」と誤判定されてしまう計算です。
インフルエンザウイルスは通常1〜3日間の潜伏期間を経て、喉や鼻の粘膜で急激に増殖します。免疫系がウイルスを攻撃するためにサイトカインを放出し、体温が一気に跳ね上がることで急激な発熱や悪寒、関節痛といった初期症状が引き起こされます。
しかし、発熱が始まった瞬間は、体がウイルスと戦い始めた合図に過ぎず、鼻腔内のウイルス量は検査キットの検出基準値(カットオフ値)に届いていないケースが多々あります。ウイルス量が基準値に達するまでに約12時間の猶予が必要となるため、「早すぎる検査」は診断の遅れや無用な再検査を招く大きな原因となります。