銀座水響亭が突然営業を終了した背景には、単なる一店舗の売上減少にとどまらない、大手外食コングロマリット全体の構造転換がありました。店舗を運営していたのは、サントリーグループの中核外食企業である株式会社ダイナックです。銀座水響亭の経緯まとめを紐解くと、いくつかの決定的な転換点が浮き彫りになります。
最大の引き金となったのは、2020年から2021年にかけて直撃した未曾有のパンデミックでした。銀座7丁目という超一等地における高額な家賃負担に加え、接待需要や深夜のバー利用が完全にストップした打撃は甚大でした。毛利ビル地下2階という巨大フロア(約100席規模)を維持するための固定費、とりわけ特注アクアリウムの循環維持費や空調コストは、客足が途絶えた状態では過大な重荷となっていたのです。
さらに親会社サントリーホールディングス傘下でのダイナック完全子会社化(上場廃止)と事業ポートフォリオ再構築が重なりました。グループ全体で不採算店や大型ハコモノ業態からの撤退が急ピッチで進められ、その大ナタの一環として、惜しまれながらも銀座水響亭閉店の理由が確定づけられることとなりました。大阪・北新地にあった姉妹店「北新地 水響亭」も軌を一にして姿を消しており、ひとつの時代を画した水響亭ブランドは静かにその歴史を閉じたのです。