『あさが来た』の魅力は、魅力的な脇役たちにもあります。しかし、朝ドラという全年齢向けの公共放送枠に落とし込むにあたり、史実のドロドロとした人間関係や家制度のシビアな側面は巧みに脱色・再構成されました。主要人物のモデルと実話の違いを整理します。
特に視聴者が衝撃を受けるのは、新次郎のモデルである広岡信五郎の側室問題です。ドラマでは、あさと新次郎の一途な純愛が描かれ、侍女のふゆ(清原果耶)は別の男性と結ばれました。しかし、歴史の事実は全く異なります。
浅子は長女・亀子を出産したものの、体調を崩して以降の子宝に恵まれませんでした。豪商としての血筋を絶やすまいと考えた浅子は、自らの手で女中であった小泥(こひえ)を夫の側室に据えたのです。信五郎と小泥の間には一男三女が生まれ、浅子はその子どもたちを我が子同然に慈しみ、立派に育て上げました。当時の家制度と妾制度を前提とした合理的かつ冷徹な判断であり、現代の倫理観では到底測れない浅子の器の大きさを物語っています。