組織としての圧倒的な制作体制を誇る日本放送協会。そこでキャリアを積み上げ、看板番組を担当するまでに上りつめたアナウンサーたちが、なぜ退職を決意するのか。かつては「生涯安泰」と謳われた組織を離れる最大の動機は、個人の発信力を試したいという切実な欲求と、表現に対する制約からの解放にある。
局員時代は厳格な規約と中立性の担保が求められるため、個人の主観や政治的立ち位置、独自のエッセイ的表現を前面に出すことは容易ではない。しかし、メディア空間が多様化した現代において、自身の声や専門性をよりダイレクトに視聴者へ届けたいという欲求が勝るケースが増えている。公的な使命感から個人の表現力勝負への旋回は、突飛な選択ではなく、時代の必然とも言える動きなのだ。