旅慣れていない人がネット検索の断片的な情報だけで旅程を組んだ結果、最も深刻なトラブルに発展するのが「和歌山県=白浜空港で降りればどこへでも行ける」という致命的な地理的誤認です。首都圏や他地方在住者の多くは、和歌山県土の広大さと移動時間を過小評価する傾向にあります。
実例として、和歌山市内にある企業や官公庁へのアポイントメントがあるにもかかわらず、「和歌山県内にあるから」という理由で南紀白浜空港行きの航空券を手配してしまい、現地に降り立ってから青ざめる出張者のエピソードが定期的にネット掲示板やSNSを騒がせます。白浜駅から和歌山駅までは、JR紀勢本線の特急「くろしお」に乗車しても約1時間30分、普通列車を乗り継ぐと2時間半以上を要します。移動費用も特急指定席を利用すれば片道3,000円以上が余分にかかり、タイムロスとコストの両面で大きな痛手を被ることになります。
反対に、「白浜温泉や熊野古道中辺路を巡る旅行なのに、航空券が安いからと関空便を取ってしまった」というケースも少なくありません。関空から白浜までは、日根野駅を経由して特急くろしおで約2時間、車を運転しても高速道路(阪和道〜湯浅御坊道路〜紀勢道)を使って約1時間45分以上の長旅となります。
和歌山県の交通体系を語る上で欠かせないのは、県が紀北(和歌山市・岩出・紀の川・海南)と紀南(田辺・西牟婁・東牟婁・新宮)で完全に生活圏・交通経済圏が分断されているという認識です。ネット上の「和歌山の最寄り空港」という曖昧な表現を鵜呑みにせず、旅の目的地がどちらのゾーンに属しているかを厳密に線引きすることが不可欠です。