『転生したらスライムだった件』において、リムル=テンペストがこのフレーズを口にした代表的なシーンが、運命の女性である「シズさん(井沢静江)」との初対面時です。スライムの姿のまま近づいたリムルは、自身の無害さを証明するために「俺はリムル。悪いスライムじゃないよ」と呼びかけます。
ここで多くの読者・視聴者が抱いたのが、「シズさんは第二次世界大戦中の東京大空襲で異世界に召喚された昭和初期の日本人なのに、なぜ1990年に発売されたファミコンのドラクエネタが通じたのか?」という疑問でした。
この点について、原作者の伏瀬氏は作中で極めて秀逸なロジックを提示しています。シズさんは異世界で教育者として活動しており、召喚された「同郷の日本の子供たち」を保護して教えていました。その日本から召喚された現代の子供たちから、日本のポップカルチャーやテレビゲームの話を聞かされていたため、シズさんは「スライム…悪いスライムじゃない…ふふ、ゲームの話ね」と理解することができたのです。
単なるギャグの引用にとどまらず、異世界間をつなぐ文化的共通言語としてこのセリフを機能させた脚本構成は、原作小説・コミックス・アニメいずれのメディアミックスにおいてもファンから高く評価された名場面となりました。