鹿児島市は市街地の至る所に温泉が湧き出る全国でも珍しい都市ですが、その中でも「みょうばんの湯」は独特の歴史的背景を持っています。前身となったのは、昭和47年(1972年)に創業した地域密着型の銭湯「みょうばん温泉」です。半世紀近くにわたり武町周辺の生活インフラとして親しまれてきましたが、施設の老朽化に伴い一度はその歴史に幕を下ろす危機を迎えました。
しかし、常連客からの熱狂的な存続要望と地域文化の継承を掲げる関係者の尽力により、2017年に大規模な全面リニューアルを実施。屋号を「みょうばんの湯」と改め、伝統の良質な自家源泉を残しながらも、白と木目を基調としたスタイリッシュでバリアフリーな空間へと生まれ変わりました。
かつての鄙びた昭和銭湯の風情を惜しむ声が一部であったものの、現代の衛生基準やプライバシー意識に合わせた空間設計により、若い世代や女性客、県外からのビジネスパーソン層を大きく開拓することに成功。歴史ある名湯の魂を守りながら、都市型温浴施設としての機能性を高めたリノベーションの成功事例として業界内でも高く評価されています。