医療系Q&AサイトやSNS上では、「熱は平熱なのに、会話中や電車内で咳き込んで周囲の視線が痛い」「市販の咳止めを3週間飲んでも全く効かない」といった深刻な悩みが日々投稿されています。ある40代会社員の投稿では、「風邪だと思って近所の内科でトローチと抗生物質をもらったが治らず、1ヶ月後に呼吸器専門医へ行って初めて咳喘息と判明。吸入ステロイドを吸ったら数日で嘘のように咳が止まった」という体験談が寄せられ、同様の境遇にあるユーザーから大きな反響を呼びました。
臨床現場において、咳が止まらないのに熱はない理由の多くは、病原体による急性感染ではなく「気道の局所的な炎症反応」や「神経過敏」に起因しています。ウイルス感染自体はすでに免疫によって排除されているにもかかわらず、一度傷ついた気管支の粘膜が過敏な状態のまま残り、わずかな冷気や会話、タバコの煙などの刺激に過剰反応してしまうのです。
現場の呼吸器科医は、「市販の風邪薬に含まれる咳止め成分(リン酸コデインなど)は、脳の咳中枢に作用して一時的に反射を抑えるだけであり、気道の炎症そのものを鎮火させるわけではない」と指摘します。熱がないからと油断して対症療法を繰り返すうちに、気道粘膜のリモデリング(構造変化による硬化)が進み、症状が固定化してしまうリスクに注意しなければなりません。