舌の表面に付着している白いものの正体は、医学用語で「舌苔(ぜったい)」と呼ばれます。これは舌の表面にある「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」という無数の微細な突起の間に、剥がれ落ちた口腔内の粘膜細胞、食べかす、そして数千億個もの口腔内細菌が絡み合って付着した塊です。
健康な人であっても舌の中央から奥にかけてうっすらと白い舌苔は存在しますが、問題となるのは「全体が分厚く白く覆われている状態」です。特に朝起きた時に舌が白くなりやすい理由は、睡眠中に唾液の分泌量が日中の約10分の1近くまで激減し、口の中を洗い流す「自浄作用」が著しく低下して細菌が爆発的に増殖するためです。
さらに見逃せないのが、舌苔と強烈な口臭との密接な関係です。日本臨床歯周病学会などの報告によると、生理的口臭(病気以外の口臭)の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC:硫化水素やメチルメルカプタン)の約60%以上が舌苔から産生されています。舌が白く濁っている状態は、いわば口臭ガスを発生させるプラントを舌の上に抱えている状態と言えます。