熱心なファンの間でもしばしば議論になるのが、原作と映画版における設定の差異や、あまり知られていない寮のギミックです。
まず、レイブンクローの寮のシンボルについてです。映画版では寮名(Raven=ワタリガラス)の印象から鳥のモチーフがカラスのように描かれ、寮カラーも「青と銀」に変更されました。しかし、J.K.ローリングによる公式原作のシンボルは「ワシ(Eagle)」、寮カラーは「青と青銅(ブロンズ)」です。ワシは「他の者が登れない高みへ飛翔する知性」を象徴しており、映画版の改変は古参ファンの間で今なお議論の的となっています。
また、城の西側に位置するレイブンクロー塔の談話室には、他寮にはない極めて知的な仕掛けが存在します。グリフィンドールやスリザリンのように固定の合言葉を唱えるのではなく、扉の青銅の鷲のドアノッカーが投げかける談話室のなぞなぞに論理的に答えなければ入室できません。
「炎と影、どちらが先か?」「消え去った物はどこへ行くのか?」といった哲学的な問いに対し、納得のいく解答を出せば誰でも(他寮の生徒であっても)通されます。逆に正解できなければ、答えられる生徒が来るまで扉の前で待たされるという、知性を尊ぶ寮ならではの徹底したシステムが採用されています。
そして、歴史の暗部として語り継がれるのがレイブンクローの髪飾りの秘密です。ロウェナが遺した「着けた者の知恵を高める」という伝説の髪飾りは、母の知性を妬んだ娘ヘレナによって盗み出され、長年行方不明となっていました。後にヴォルデモート(トム・リドル)によって発見され、分霊箱(ホークラックス)の器へと変貌を遂げた悲劇の宝玉は、知性への過度な執着が招く破滅を象徴しています。