岡田氏の視野は、食料品や日用品の販売にとどまることはない。週末のイオンモールを訪れるファミリー層を惹きつけるイオンシネマや各種アミューズメント施設、金融、ヘルスケア事業まで、生活全般を取り込む「ライフスタイル・エコシステム」の構築が着々と進む。
映画を観て、カフェで寛ぎ、処方薬を受け取り、夕食の買い物を済ませる。あるいは、そのすべてをアプリを通じてシームレスに決済し、重い荷物だけを自宅へ配送させる。単一の小売企業では到底成し得ないこの複合的な体験価値こそが、アマゾンをはじめとするグローバルテックジャイアントに対抗し得る最大の防壁となる。モノを売る場所から、時間を過ごす場所へ。岡田氏が推し進める空間の価値再定義は、人々の余暇時間をまるごと自社経済圏へ引き込むための緻密な計算に基づいている。