「ダバダ」の旋律とともに、日本の広告史に燦然と輝くキャッチコピーが「違いがわかる男」です。1970年にスタートしたこのシリーズは、単なる商品アピールではなく、一流の文化人やクリエイターの「生き様」を通じて製品の高品質さを伝える画期的な試みでした。
初代出演者として起用されたのは、作家の遠藤周作氏です。文壇の重鎮が書斎で静かに原稿用紙に向かい、コーヒーを口にする姿は、当時の日本人に「知的な大人の嗜み」という強烈な憧れを植え付けました。
その後も、映画評論家の野口久光氏、作家の阿川弘之氏や安部公房氏、歌舞伎役者の中村吉右衛門氏、指揮者の小澤征爾氏など、各界の第一線で妥協なき仕事をする巨匠たちが次々と登場しました。彼らの真剣なまなざしと、背後に流れる「ダバダ」のスキャットがシンクロすることで、ネスカフェは「ステータスシンボル」としてのブランド価値を確立していったのです。
時代が進むにつれ、女性の社会進出や価値観の多様化を反映し、コピーは「違いを楽しむ人」へと進化を遂げました。陶芸家、演出家、実業家など、性別やジャンルにとらわれないプロフェッショナルたちが起用され、現代のライフスタイルに寄り添うメッセージを発信し続けています。