現在展開されている新シーズンにおいて、カンパニーの進化は誰の目にも明らかだ。英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルとして世界を魅了した吉田都が芸術監督に就任して以来、リハーサル室の空気は劇的に変わった。彼女が求めるのは、形だけの美しさではない。登場人物の感情が指先からこぼれ落ちるような、生きた表現力である。
「ステップの正しさは前提。その先にある物語を語ってほしい」。関係者によれば、稽古場では吉田自らが身体を動かし、細かな顔の角度や体重移動のニュアンスを叩き込む場面が日常茶飯事だという。世界水準を知る指導者のもと、ダンサー一人ひとりの意識が変革を遂げた。舞台裏には、ストイックな緊張感と同時に、芸術的フロンティアへと挑む高揚感が充満している。