浜松北高校を語る上で欠かせないのが「自主自律」という強烈なアイデンティティです。かつての私服通学の歴史や、現在もほとんど干渉されない校則の緩やかさなど、ネット上の評判でも「自由で最高の高校生活が送れる」と絶賛されています。しかし、この美辞麗句の裏側には、教育社会学的に見ても非常にシビアな構造的罠が潜んでいます。
同校の授業は極めてハイスピードで進み、全国トップ校の常として「教科書の内容はすでに理解しているもの」として扱われます。私立進学校のように放課後補習や手厚い課題添削で生徒の尻を叩くような手厚い管理教育は一切行われません。「勉強するのは自分のためであり、放置されても自ら進んで机に向かうのが当たり前」という暗黙の了解が徹底されているのです。
この結果生じるのが、校内で囁かれる「深海魚問題(学力低迷層の固定化)」です。中学時代まで常にトップでちやほやされてきた生徒が、入学後の最初の定期試験で下位20%に沈み、そこからのリカバリー方法が分からずに自信を喪失してしまう心理的トラウマです。自己決定権を与えられることは、裏を返せば「結果の全責任を15〜18歳の少年少女自身が負う」ことを意味します。この自由という名の重圧に耐え切れず、燃え尽き症候群に陥る生徒が少なからず存在する現実は、受検前に必ず知っておくべき事実と言えます。