ポピュラーカルチャーにおいて、彼らの静寂さは長年いじられ役として描かれてきた。例えば世界的なハリウッドアニメ映画『マダガスカル』に登場する気弱なキャラクター、メルマンは、心配性でありながらも声を上げて叫ぶシーンは少なく、どこか頼りない「無口な存在」として描かれている。
一方で、自然・動物ドキュメンタリーの現場では、描かれ方に劇的な変化が起きている。ナショナルジオグラフィックの映像取材チームや、Netflixが誇る最新の自然ドキュメンタリー番組群では、超感度マイクと赤外線カメラを駆使して、暗闇の中でハミングする姿を捉える撮影が標準化しつつある。
エンターテインメント作品が描いてきた「無口でおとぼけたキャラクター像」から、最先端のネイチャードキュメンタリーが明かす「夜の秘めやかなソリスト」へ。メディアにおける彼らのイメージは、今まさに大きな脱皮を遂げている。