映画監督や共演者、映画批評家たちが口を揃えて評価するのが、妻夫木聡の「役への没入度(メソッド的アプローチ)」と「自我を消し去る柔軟性」です。
『悪人』の撮影時には、演じる青年・清水祐一の孤独を体感するため、撮影前から長崎のロケ地周辺に実際に住み込み、土木作業員の現場で時間を過ごしたという有名な逸話があります。また『怒り』の際にも、共演した綾野剛と同棲生活を送り、役柄の関係性を私生活の呼吸から作り上げました。
撮影現場のスタッフからは「妻夫木さんはカメラが回っていない時間でも作品の世界線に静かに佇んでいる」「主役として現場の全スタッフに気を配り、空気を澱ませない」といった証言が多数寄せられています。自己主張を過剰に押し出すのではなく、物語のテーマや監督の作家性を最大限に引き出す「器」になれる点こそが、巨匠から若手監督までオファーが途切れない最大の理由です。