この重厚な物語に魂を吹き込んだキャスト陣の功績も見逃せません。野原ひろし役を演じた故・藤原啓治氏は、生身のひろしの哀愁と父親としての気概、そしてロボとーちゃんの悲壮感漂う覚悟を見事に演じ分けました。声のトーンや息遣いの一つひとつに込められた説得力が、キャラクターの葛藤をこれ以上ないほどリアルに増幅させています。
また、しんのすけ役を演じた矢島晶子氏の感情表現も白眉です。いつものマイペースなおバカさを崩さないまま、ふとした瞬間に覗かせる「どちらも僕の大切なとーちゃんだ」という純粋無垢な叫びが、観客の胸を激しく打ちます。日本のアニメーション史を代表する名声優たちが火花を散らしたセッションは、まさに奇跡的な完成度を誇っています。