医学的な血液検査や脳画像で判定できるものではないため、セクシュアリティの把握には自身の感情の履歴を振り返るセルフチェックが手掛かりとなる。当事者の多くが経験する典型的な思考パターンには、以下のような特徴が見られる。
【アセクシュアルの傾向を示すセルフチェック基準】
- 他者への性的な関心の欠如:街中や職場で「魅力的な人」を見ても、外見や人間性を好ましく思うだけで、性的な接触を持ちたいという衝動が湧かない。
- 恋人の必要性に対する動機のズレ:パートナーが欲しい理由を突き詰めると、「世間体」「老後の不安」「単なる話し相手」であり、情熱的な恋愛感情ではない。
- 性的なコンテンツへの醒めた視線:映像や小説での性描写に対して感情移入できず、生物学的な作業やフィクションの記号として客観視してしまう。
- 好意を向けられた時の忌避感:友人として親しくしていた相手から恋愛感情や性的な好意を告白された瞬間、強い違和感や居心地の悪さを覚える。
- 推し活とリアルの完全な分離:アイドルやアニメキャラクターへの強い愛着はあるが、実在の生身の人間と生々しい交際をしたい願望は一切ない。
当事者が自認に至る経緯を辿ると、多くは中学校や高校の「恋バナ全盛期」に最初の違和感を覚える。友人が誰かを好きになって一喜一憂する姿を「お芝居」のように感じ、話を合わせるために適当な同級生の名前を挙げてやり過ごすケースが目立つ。
その後、成人して交際を経験した際に性的なスキンシップへの苦痛や虚無感に直面し、精神疾患の「性欲減退障害(HSDD)」ではないかと悩んだ末に、Web上でアセクシュアルという概念に出会って霧が晴れるように自認するパターンが典型的だ。