スーパーの惣菜コーナーや回転寿司で販売されている「まぐろたたき(ネギトロ)」には、切り身の刺身にはない「大人も驚く決定的な落とし穴」が存在します。ネット上で「市販のネギトロは子どもに危険」と囁かれる背景には、根拠のない都市伝説ではなく、れっきとした食品加工上の実態があります。
第一の理由は、「大量の植物油脂と添加物の混入」です。本来の高級寿司店におけるネギトロとは、マグロの骨の周りにある中落ちや筋の多い部位をスプーン等で「ねぎ取る(削ぎ取る)」職人技に由来します。しかし、スーパーで1パック数百円で並ぶ市販品の多くは、キハダマグロやビンナガマグロなど脂質の少ない安価な魚肉をミンチにし、滑らかな舌触りとコクを出すためにパーム油、菜種油、ショートニングなどの植物油脂を10〜20%前後練り込んで人工的に作られたものが主流です。
原材料表示を確認すると、魚肉の次に「食用植物油脂」が記載され、さらに「pH調整剤」「酸化防止剤(V.C、V.E)」「トレハロース」などの食品添加物が並んでいることが分かります。天然のマグロ赤身の脂質が100gあたり約1.4gであるのに対し、油脂を添加した加工ネギトロは100gあたり10g〜15g前後の脂質を含んでおり、実に約7〜10倍もの脂質量に跳ね上がります。成人に比べて膵臓の消化酵素(リパーゼ)の活性が低い幼児にとって、この急激な高脂質負荷は激しい消化不良や下痢を引き起こす直接的な引き金となります。
第二の決定的な理由は、「ミンチ加工による微生物汚染リスクの激増」です。魚の切り身の場合、付着した食中毒菌は基本的に魚の「表面」にとどまります。しかし、たたきやネギトロのように肉を細かく粉砕・混練する工程を経ると、表面にいた菌が内部深くまで均一に練り込まれてしまいます。さらに空気に触れる表面積が天文学的に増大するため、要冷蔵状態であっても切り身と比較して細菌の増殖スピードが圧倒的に早くなります。
生食用鮮魚として衛生管理されているとはいえ、流通経路や陳列時間、購入後の持ち帰り時間の温度変化によって、腸炎ビブリオやサルモネラ属菌、リステリア菌などのリスクは一気に跳ね上がります。この「脂質過多」と「細菌増殖リスク」の二重苦こそが、まぐろたたきを乳幼児に安易に与えてはならない最大の理由です。