「糸」や「地上の星」、そして初期の金字塔である「時代」。これらの不朽の名曲が生み出された背景には、人々の営みや生きる苦悩、そして温かな人間愛を間近で観察してきた彼女独自の視点がある。弟である徹氏が医療現場で向き合ってきた「生と死」、そして人々の絆の物語は、少なからず彼女の詩世界に深みを与える示唆となってきた。
特に「糸」で歌われる縦の糸と横の糸の織りなす布の物語は、家族や人と人との巡り合わせに対する深い感謝と敬意から紡ぎ出されたものだ。身近な家族の働く姿、特に命を繋ぐ現場に立つ弟の存在は、抽象的な概念としての人間愛を、リアルで実感を伴う言葉へと昇華させるための触媒となった。