大手前への移転後、大阪国際がんセンターで実際に治療を受けた患者やその家族は、どのような評価を下しているのでしょうか。医療系レビューサイト、SNS上の生の声、患者会へのヒアリング取材を通じて見えてきたのは、医療水準に対する圧倒的な高評価と、専門病院特有のドライさに対する戸惑いという2つの側面でした。
好意的な口コミに見る「高度医療とホスピタリティ」
患者・家族から最も多く寄せられているのは、ハード面・ソフト面双方に対する信頼の厚さです。
「他院で『これ以上の手術は難しい』と告げられた希少がんに対し、外科・放射線科・腫瘍内科の専門医がチームを組んで治療計画を提示してくれた。最新の手術支援ロボットによる手術を受け、術後の回復が驚くほど早かった」(50代・消化器がん患者家族の手記より)
「病院特有の薬品臭さがなく、広々としたロビーや眺望の良い病棟はまるでホテルのよう。病気に対する恐怖心で押しつぶされそうだったが、1階の『がんサバイバーシップ支援センター』で心理相談やウィッグの相談ができ、精神的に救われた」(40代・乳がんサバイバーの声)
特に、セカンドオピニオン体制の充実や、患者の就労支援・アピアランスケア(外見の変化に対するケア)など、治療生活全般を支える体制には高い評価が集まっています。
厳しい声に見る「大規模専門病院の壁」
一方で、かつての地域密着型病院のような感覚で足を運んだ人々からは、シビアな意見も散見されます。
「予約制であっても、診察前の検査や画像診断が重なると待ち時間が2〜3時間に及ぶことがある。診察室での医師の対応は的確だが、非常に合理的でテキパキしているため、雑談や情緒的な相談をする余裕があまり感じられなかった」(60代・通院患者の家族)
「がん治療に特化しているため、治療中に生じた別の持病(高血圧や整形外科的トラブルなど)は原則として別のクリニックや近隣病院で診てもらうよう促される。完全な総合病院ではないことを理解していないと不便に感じるかもしれない」(70代・定期通院者)
これらの声は、同院が「高度な医療技術を提供する拠点」として徹底的に効率化されているがゆえの現象であり、受診側にも病院の性質を正しく理解した使い分けが求められていることを示しています。