名曲「光進丸」の誕生には、単なる楽曲制作の枠を超えたドラマがあった。航海の合間、デッキでアコースティックギターを抱えた加山が、波の音とエンジン音の心地よいリズムに触発されてメロディを書き留めたという伝説がある。時に時化に見舞われ、自然の猛威に直面しながらも、海への感謝と愛艇への愛着をそのまま歌詞へと落とし込んでいった。
スタジオで完璧に計算されたサウンドとは異なり、船上で着想を得たコード進行には、潮風の香りと爽快なスケール感がそのまま刻み込まれている。この楽曲が今なお多くの船乗りや音楽ファンに愛される理由は、装飾をぎりぎりまで削ぎ落とした純粋な「海へのラブレター」だからにほかならない。