まず押さえておくべき解剖学の事実があります。日本人の成人の角膜(いわゆる黒目)の直径は、個人差が極めて小さく、平均して約11ミリから12ミリの範囲に収まります。新生児の時点で約10ミリに達しており、生後1年から2年ほどで成人サイズに成長した後は、生涯にわたって物理的なサイズが変化することはありません。
眼科専門医の学術調査でも明らかなように、生まれつき「黒目が大きい人」と「黒目が小さく見える人」の間に存在する角膜の直径差は、わずか1ミリ未満にすぎません。では、なぜ日常の中で他人の瞳を見たときに、あれほど顕著なサイズ差を感じるのでしょうか。その答えは、まぶたの開き具合(開瞼幅)と白目の露出面積にあります。
日本人の瞳において最もバランスが整って見える比率は、かつて「白目:黒目:白目=1:2:1」と提唱されてきました。しかし、日本人成人の平均的な露出比率は「1:1.5:1」程度にとどまるケースが多く、上まぶたが黒目の上部3分の1程度を覆っていることが珍しくありません。つまり、「黒目が小さい」と悩む人の大半は、黒目そのものが小さいのではなく、上まぶたの下垂やむくみ、蒙古襞(もうこひだ)の被さりによって黒目が隠れているだけなのです。