「パンケーキ」という言葉の「パン」は、朝食に食べるブレッド(Bread)ではなく、フライパンや浅い鍋を指す「Pan」に由来します。その歴史は古代ギリシャやローマ時代にまで遡り、穀物の粉に水や乳製品を混ぜて熱した平鍋で焼いた素朴な料理が原点とされています。英語圏におけるPancakeは、平鍋で丸く焼いた生地料理全般を包括する上位概念です。朝食の定番としてベーコンやソーセージを添える塩味の食事用から、メープルシロップをかけるデザート用まで、幅広いスタイルが日常に溶け込んでいます。
一方の「ホットケーキ」は、大正から昭和初期の日本で誕生した和製英語に近い呼称です。1923年(大正12年)に帝国ホテルの食堂で提供された「ハットケーキ(Hat cake)」が端緒とされ、その後「温かいうちに食べるケーキ」という意味合いから「ホットケーキ」の呼び名が広く定着しました。アメリカの一部の地域やファストフードチェーンでも「Hotcakes」の表記が見られるものの、欧米ではあくまでPancakeの一種という扱いであり、独立した別ジャンルとして日常的に区別しているのは日本独自の文化現象です。