1998年大会は、サッカー日本代表にとっても悲願のワールドカップ初出場を果たした忘れられないマイルストーンです。アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカと同組となったグループステージでは3戦全敗を喫したものの、ジャマイカ戦で中山雅史が記録した「日本代表W杯初ゴール」は日本サッカー史に刻まれるハイライトとなりました。
しかし、本大会開幕直前に日本中を騒然とさせたのが、ニヨン合宿での三浦知良(カズ)と北澤豪のメンバー落ちでした。会見で岡田武史監督(当時)が発した「外れるのは市川、北澤、カズ…三浦カズ」という言葉は、今なお語り継がれる衝撃のシーンです。
当時、日本を初出場に導いた象徴的ストライカーがなぜ外されたのか。その決定的な理由は、世界の強豪と対峙する上での「プレッシング強度の維持」と「守備への切り替えスピード」を岡田監督が最優先した点にあります。大会直前のコンディション低下に加え、組織的プレッシングとカウンターのスピードを重視する戦術プランにおいて、城彰二や中山雅史、野人・岡野雅行の起用が優先された結果でした。情情を排したプロフェッショナルな決断は、日本サッカーが世界水準のリアリズムへ舵を切った瞬間でもありました。