二人の演技が今なお批評家や映画ファンから絶賛される理由はどこにあるのか。それは「言葉に頼らない感情表現の圧倒的な精度」にある。
池田エライザは、目線の泳ぎやわずかな口元の動きだけで、キャラクターが抱える葛藤や孤独を立体的に表現してみせた。モデル出身という枠を完全に踏み越え、一人の女優として圧倒的な存在感を提示したのだ。そして三浦春馬のすごさは、天性のスター性と緻密に計算された演技プランの同居にある。ただ「カッコいい」だけでなく、時代の匂いや若者の刹那的な美しさを全身で体現してみせた。この二人が同じフレームに収まったとき、完璧なコントラストが生み出されたのである。