青木愛という人物の根幹を理解するには、トップアスリートとして駆け抜けた熾烈な競技人生を振り返る必要がある。京都で生まれ育った彼女は幼少期からプールに打ち込み、シンクロナイズドスイミングの世界で頭角を現した。
日本水泳連盟の厳しい指導と苛烈な強化合宿を乗り越え、彼女の名を世界に轟かせたのが2008年に開催された北京オリンピックだ。日本代表チームの主力として大舞台に立ち、見事に入賞を果たす。日本オリンピック委員会(JOC)が誇る精鋭として寄せられたプレッシャーは計り知れず、当時の生活はまさに「水泳漬け」の一言に尽きた。
「早朝から夜まで水中に浸かり、体脂肪率を限界まで削ぎ落とす毎日。恋愛やデートに割く時間もエネルギーも残されていなかった」と現役当時を知る関係者は証言する。青春のすべてを競技に捧げた経験こそが、現在の自立した精神と美学の基盤となっているのだ。