白内障手術後の見え方を根底から決定づけるのが、挿入する「眼内レンズの選択」です。選択肢は大きく分けて、1箇所に焦点を固定する「単焦点眼内レンズ」と、複数の距離に焦点を分散させる「多焦点眼内レンズ」が存在します。
ネット上の掲示板や口コミサイトでは「白内障手術を受ければメガネ不要の生活が手に入る」といった書き込みが散見されますが、これには大きな落とし穴があります。単焦点レンズを選んだ場合、遠方にピントを合わせれば運転やテレビ鑑賞は裸眼で快適になりますが、手元のスマートフォンや読書には老眼鏡(読書用メガネ)が必須です。逆に手元に合わせた場合は、外出時に遠用メガネが必要となります。
対する多焦点レンズは、2焦点・3焦点、さらには焦点深度拡張型(EDOF)など進化を遂げており、日常生活の大半を裸眼で過ごせる利便性があります。しかし、目に入ってきた光のエネルギーを遠方・中間・近方へと分割して届ける構造上、単焦点レンズに比べて「コントラスト感度(物の輪郭のくっきり感)」がわずかに低下します。ネットの反応でも「メガネなしで生活できるのは素晴らしいが、薄暗いレストランでメニューの文字が読みにくい」「くっきり鮮明に見えるわけではない」といった評判が寄せられています。
以下の比較表は、2026年現在の国内医療体制に基づき、レンズごとの光学特性・費用体系・臨床的評価を整理したものです。
現在、多焦点眼内レンズの多くは「選定療養」の枠組みが適用されます。手術基本料や診察費は公的保険が適用され、多焦点レンズにかかる追加費用(レンズ差額代金)のみを自己負担することで、かつての全額自己負担時代に比べて経済的ハードルは下がっています。しかし、高額なレンズを入れたからといって、すべての人にとって単焦点より優れているわけではないという厳然たる事実を認識しておく必要があります。