NHKのロングセラー番組『きょうの料理』などで長年愛される料理家・栗原はるみ氏が提唱してきた家庭料理の美学には、日常の食材にひと手間を加えて特別感を演出する工夫が溢れている。素材の持つ魅力を自然体に活かしつつ、見た目にも温かみを感じさせるアプローチだ。
生の素材をただ皿に盛るのではなく、手間と真心を込めて一輪の花に仕立て直す。この精神こそが、日本の家庭におけるおもてなし文化の根幹にある。大げさな器を使わなくとも、一工夫された盛り付けがあるだけで、食卓の会話は自然と弾むものだ。
季節の草木やフレッシュミントの葉を緑のガクに見立てて添えるアイデアも、こうした日本の家庭料理の知恵から生まれた。色鮮やかな赤とグリーンの対比が、見る者の食欲と感性を心地よく刺激する。