ネット上の掲示板やSNSでは「慢性上咽頭炎は一生治らない」「Bスポット治療に通ったけれど効果がなかった」という声が散見されます。しかし、日本病巣疾患研究会(JFIR)に所属する専門医らの知見を総合すると、治らないと感じる背景には明確な構造的要因が存在します。
第1の落とし穴は「治療の早期中断」です。
Bスポット治療の初期は、鬱血した毛細血管が擦過によって破れるため、強い痛みと綿棒への鮮血付着が起こります。この痛みに耐えかねて2〜3回で通院をやめてしまう方が非常に多いのが実情です。上咽頭の粘膜が上皮化し、正常な組織へと修復されるには最低でも10回から15回程度の反復処置が必要です。
第2の落とし穴は「不適切な擦過手技」です。
上咽頭は立体的で複雑な構造をしており、鼻腔経由だけ、あるいは口腔経由だけの簡易な塗布では、最も炎症が強く残る「上咽頭の後上壁や耳管周囲」に薬剤が届いていない場合があります。治療効果を最大化するには、経験豊富な医師による確実なアプローチが欠かせません。
第3の落とし穴は「対症療法の薬漬け」です。
アレルギー性鼻炎薬や抗不安薬、胃酸逆流抑制薬などを漫然と飲み続けても、上咽頭に存在する局所病巣(細菌叢の乱れや微小循環障害)そのものは除去できません。原因病巣に対する直接アプローチと生活習慣の是正を並行しない限り、根本治癒は望めません。