少女漫画の定番シチュエーションといえば、「髪についた花びらや糸くずを取ってあげる」という触れ合いです。では、なぜよりによって「芋けんぴ」が選ばれたのでしょうか。
この疑問について、杉山美和子先生自身がSNSやコメント等で制作当時の裏話を明かしています。少女漫画における王道の胸キュン描写を描くにあたり、「ありきたりなパターンではなく、読者の印象に強く残るフックを作りたい」という編集担当とのやり取りや遊び心からアイデアが発展しました。
スナック菓子やチョコレートではなく、細長くて硬さがあり、髪に刺さっていても(漫画的なデフォルメとして)絵になり、口に入れたときの「カリッ」という小気味いい食感を描写できるお菓子——その条件を完璧に満たしたのが「芋けんぴ」だったというわけです。計算されたギャップと作家のひらめきが融合した結果、10年以上色褪せない奇跡のシーンが完成しました。