『千と千尋』の成功後、商業的な声優・タレントのレールに乗る道を選ばず、彼女が注力したのが自主映画『もんしぇん』(2006年公開・山本草介監督)の製作でした。
熊本県天草の厳しくも豊かな自然とキリシタンの歴史を背景に描かれた本作において、玉井夕海は主演女優を務めただけでなく、企画・脚本・音楽・宣伝配給の陣頭指揮まで担いました。この映画を創り上げるために結成された音楽ユニットが「Psalm(サーム)」です。アコーディオンやバイオリン、パーカッションなどが織りなすアコースティックで哀切漂う音響空間は、国内外の映画祭やミニシアターで絶賛を浴びました。
既存の配給網に頼らず、全国各地の劇場や寺社、カフェなどを巡回上映しながらライブを行う草の根のスタイルを貫き、作品を自らの手で観客へ届けるという徹底した現場主義は、彼女の表現者としての確固たる背骨となっています。