季語の世界は無秩序に並んでいるわけではありません。多くの歳時記では、自然現象から人間の営みまでを体系的に把握するため、伝統的に7つの基本分類を採用しています。
- 時候(じこう):立春、春分、初夏、秋涼、寒の入りなど、暦や季節の推移そのものを表す言葉。
- 天文(てんもん):春一番、五月雨(さみだれ)、天の川、初雪など、空や天候、気象に関わる現象。
- 地理(ちり):雪解川(ゆきげがわ)、夏の海、野分跡(のわきあと)、氷湖など、地勢や風景の季節的変化。
- 生活・人事(せいかつ・じんじ):風鈴、花見、蚊遣火(かやりび)、焚火など、人々の衣食住や年中行事以外の日常習慣。
- 行事(ぎょうじ):節分、雛祭、祇園祭、原爆忌、クリスマスなど、宗教的・社会的な儀礼や記念日。
- 動物(どうぶつ):鶯(うぐいす)、蛙、蝉、赤とんぼ、白鳥など、特定の季節に活動・飛来する生物。
- 植物(しょくぶつ):桜、紫陽花(あじさい)、紅葉、水仙など、季節を告げる草花や樹木、農作物。
また、歳時記を引きこなす上で欠かせないのが「本題(ほんだい)」と「傍題(ぼうだい)」の違いを理解することです。本題とは、その季節の情景を代表する主たる見出し語(例:「春の雨」)を指します。一方の傍題とは、本題と同義あるいは密接に関連するバリエーション(例:「春雨」「春霖」「花の雨」など)のことです。初心者はまず本題の意味と情趣を掴み、作句のリズムや音数(五七五)の調整、ニュアンスの微調整に合わせて適切な傍題を選択していくのが上達への近道です。