売れない下積み時代から芸人の妻として歩みを共にした彼女の人物像は、一言で言えば「極めて冷静で肝が据わった女性」である。まだ何者でもなかった若手時代、明日の食費すら覚束ない日々にあっても、彼女が夫の夢を否定することは一度もなかったという。
過酷な貧困生活の中でも、妻は常に笑顔を絶やさず、夫が芸事だけに集中できる環境を整え続けた。破天荒な生き方を貫く夫の性格を誰よりも理解し、どれほど突拍子もない行動に出ようとも、それを「芸人の性」として受け止める度量の広さ。芸能界という不安定な世界で生きる男にとって、帰るべき場所をどっしりと守る妻の存在は、何物にも代えがたい精神的支柱であった。