映画『アウトレイジ』の代名詞となった「全員悪人」という鮮烈なキャッチコピーは、宣伝を担当したスタッフが作品の本質を一言で言い表すために生み出したものです。従来のヤクザ映画にありがちだった「義理人情」や「男の哀愁」といった情緒的要素を完全に削ぎ落とし、登場人物全員が利己的な悪党であるという構造をストレートに提示しました。
北野武監督が掲げた「痛快なエンターテインメントとしてのバイオレンス」という制作意図が見事に凝縮されたこの言葉は、映画ファンのみならず一般層にも瞬く間に波及しました。勧善懲悪のヒーローが存在しない潔さは、観る者に強烈なカタルシスを提供したのです。
現在では映画の枠を飛び越え、SNSや掲示板などで「関係者全員に非があるトラブル」や「泥沼の争い」を揶揄するネットスラングとしても頻繁に使用されています。政治スキャンダルや企業間抗争、芸能界のトラブルが起きた際、「まさに全員悪人状態」と表現されるほど、日本語の日常表現として深く根付いています。