本作の魅力は、岩手県の架空の町「北三陸」と、欲望と夢が渦巻く「東京」という2つの舞台をダイナミックに行き来する構成にあります。登場人物たちの関係性は単なる善悪や敵味方ではなく、互いの思惑や愛情が複雑に絡み合うグラデーションで描かれました。
北三陸編では、袖が浜の海女クラブを中心とする地域コミュニティが舞台となります。夏ばっぱ(宮本信子)をはじめ、弥生(渡辺えり)、かつ枝(木野花)、美寿々(美保純)、安部ちゃん(片桐はいり)ら個性豊かな海女仲間と、北三陸駅駅長の大吉(杉本哲太)、観光協会の菅原(吹越満)、吉田(荒川良々)、琥珀掘りの勉さん(塩見三省)らが織りなす掛け合いは、まるで上質なシチュエーション・コメディのようなテンポを生み出しました。
一方、東京編ではアメ横の地下劇場を拠点とするアイドル界の現実が描かれます。アキとユイが夢見た東京の光と影、かつて春子が挫折した芸能界の因縁、そして太巻(古田新太)と鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の過去の秘密が明かされるにつれ、物語は家族の再生ドラマへと収斂していきました。
地方の町おこしと中央のエンターテインメントビジネスという対比構造の中で、登場人物一人ひとりが自身の居場所を模索する姿は、視聴者に深い共感を呼び起こしました。